東京都の商業地の土地価格は、大きな流れでは、①1970年代以降、右肩上がりで上昇し、1991(平成3)年頃バブルの崩壊により大幅に下落し、長い停滞期間を経て、②2005(平成17)年頃から上昇に転じ、リーマンショックにより2009(平成21)年頃に下落し、③2014(平成26)年頃から上昇に転じ、2020(令和2)年の新型コロナウイルスの感染拡大期に一時的に停滞したものの、2021(令和3)年頃からは、更に上昇しています。
土地や建物の賃貸借契約は、長期の関係になりますので、賃貸人(貸主)からも賃借人(借主)からも、不動産価格の増減などにより賃料が不相当となった時に、賃料の増額及び減額を請求することが、原則として認められています。
したがって、土地の賃貸人としては、①、②及び③のように、地価が上昇しているタイミングで、適時に、賃料の増額を請求し、継続的に賃借人と交渉する必要があります。
ところが、土地や建物の賃貸借契約は、長期の関係になりますので、様々なご事情により、賃貸人が、適時に、賃料の増額を請求したり、賃借人と交渉したりすることができていない場合も多くあります。また、契約書が紛失していたり、過去の経緯が不明確になったりしていることも多くあります。土地に係る固定資産税・都市計画税(固都税)は、基本的に土地価格に連動しているため、土地価格が上昇すれば、固都税も上昇しますので、固都税と賃料が、ほとんど同じ金額になってしまっているような場合も存在します。
当事務所では、不動産に関する各種法令や裁判例等を踏まえて、借地借家トラブルが生じないようにするためのお手伝い、またトラブルが生じてしまった場合に、迅速かつ適切な解決を目指したお手伝いをいたします。
契約書の作成
交渉・紛争・トラブル
建物所有を目的とする土地の賃借権は「借地権」といわれ、借地借家法が適用されます。
ただし、平成4年7月31日までに締結された借地契約には、存続期間等については旧借地法が適用されることとなります。
概略は以下のとおりです。
[賃貸借契約が平成4年7月31日までに締結された場合]
旧借地法が適用され、存続期間は、契約で石造・土造・煉瓦造などの堅固の建物について30年以上、その他(非堅固)の建物について20年以上の存続期間を定めたときは、その期間になります。しかし、存続期間を定めなかった場合や、上の年数に満たない期間を定めた場合は、堅固の建物の所有を目的とするときは60年、非堅固の建物の所有を目的とするときには30年となります。
期間経過後も借地上に建物が存在し、借地人が借地の使用を継続しており、地主が「正当事由」を具備して遅滞なく異議を申し出ないと、借地契約は更新したものとみなされます(法定更新)。
更新後の期間は、堅固の建物は30年、非堅固の建物は20年となります(合意更新の場合でこれより長い期間を定めた場合はその期間)。
[賃貸借契約が平成4年8月1日以降に締結された場合]
借地借家法が適用され、存続期間は一律30年(契約でこれより長い期間を定めた場合はその期間)です。
上記とほぼ同様の法定更新の制度があります。借地契約の更新後の期間は1回目の更新のみ20年、2回目以降は10年になります(合意更新の場合でこれより長い期間を定めた場合はその期間)。
借地借家法で、定期借地権の制度も創設されましたので、様々な契約が可能となっています。
固都税の額は、基本的に、土地価格に連動しています。しかし、固都税の急激な上昇を抑えるために、課税標準額を少しずつ引き上げ(負担水準を引き上げ)、税額を段階的に上げる措置がとられています。そのため、土地価格が急激に上昇したとしても、固都税の額は、土地価格が上昇したようには上昇しないということになります。
近年は、土地価格が大幅に上昇しても、固都税の上昇率は10%以内で推移しています。一方で、1970年代には、数年間にわたって、毎年、固都税が20%を超えて上昇したような時期もありました。日本経済のダイナミックな成長に伴って、土地価格も大幅に上昇したということと思われます。
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