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2018.04.11

内部通報窓口を設置する際のポイント

 現時点では大企業を中心にではありますが、会社のコンプライアンスを向上させるために、多くの会社で、内部通報窓口が設置されるようになってきました。 内部通報によって不祥事を未然に防ぐことができれば、企業価値の向上にもつながるため、内部通報窓口を機能させることは、中小企業も含め、会社にとっても有用となります。 そこで、近時改正された、消費者庁による「公益通報者保護法に関する民間事業者向けガイドライン」を踏まえて、内部通報窓口を設置する際のポイントについて、ご紹介させて頂きます。

【内部規程の整備】
 内部通報窓口を機能させるためには、従業員が安心して通報することができる仕組みを構築することが重要です。そのため、次のような点などに留意した内部規程を作成することが必要となります。
・通報窓口や受付方法を明確に定める
・匿名での通報も可能にする
・通報者に対する不利益取扱いの禁止について明記する
・可能な限り法律事務所など外部の通報窓口を設置する※
※外部の通報窓口を設置することによって、通報者にとっては、外部の通報窓口には氏名や連絡先を明らかにする一方で、外部の通報窓口から企業に対しては匿名で伝えてください、ということも可能となります。その結果、通報者にとっては、企業に対しては心理的な負担が大きくない匿名での通報になる一方で、外部の通報窓口には氏名や連絡先を伝えることによって、調査結果などについてのフィードバックを受けることも可能になる、というメリットがあります。

【従業員への周知】
 内部通報窓口を設置していても、従業員に周知されていなければ、実効性が失われてしまいます。そのため、電子メール、イントラネット、携帯用カードの配布、研修の実施等、その会社に合った方法で、十分にかつ継続的に、周知することが重要です。 また、内部通報窓口が周知されていたとしても、経営陣に理解がないと思われてしまえば、形骸化してしまいます。経営者の方が、「内部通報は、リスクの早期発見や企業価値の向上に資する正当な職務行為である」というメッセージを積極的に発信することも重要です。

【調査実施の際の秘密保持】
 通報に基づいて調査を実施する際には、次のような措置をとるなどして、社内で通報者が特定されないようにすることが重要です。
・通報にかかる情報を共有する範囲は必要最小限にとどめる
・調査に際して、通報者の特定につながる情報を伝達することが不可欠である場合も、伝達する相手に秘密保持を徹底させる
・定期監査と合わせて調査を実施する、該当部署以外の部署にもダミーの調査を実施するなどの工夫を講じる

【通報者へのフィードバック】
 通報に対して会社が対応を行っていないのではないかと、通報者が会社に不信感を持つことを防ぐためにも、通報に基づいて調査や是正措置を実施した場合には、通報者に対して、速やかにフィードバックを行うことも重要です。

【フォローアップ】
 内部通報窓口を機能させるためには、通報に基づく調査や是正措置の実施後、次のような点についてのフォローアップも重要です。
・通報者に対して不利益な取扱いが行われていないか
・是正措置を行った後、法令違反等が再発していないか


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