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2012.01.27

株式会社の単独株式及び少数株主の権利

 株式会社の株主は、株主総会の決議等を通じて、会社の経営に参加します。会社の経営方針は、原則として、株主総会に出席した株主の議決権の過半数の決議によって決められますので、 決議に影響を及ぼす程度の数の議決権を有していない株主は、事実上、会社の経営方針の決定に参加できない場合があります。 しかし、会社法は、このような少数の株式または単独の株式しか有していない株主に対しても、以下の通り、行使できる権利を用意して、会社経営が適正に行われることを目指しています。

権利の種類議決権数または株式数の要件(発行済株式総数の場合は、自己株式を除く)権利行使前6カ月以上保有している必要(非公開会社ではこの要件は不要)
単独株主権
→1株以上の株式を有する場合に行使できる権利
募集株式発行差止請求権・自己株式の処分差止請求権(210条)なし不要
新株予約権発行差止請求権(247条)
累積投票請求権(342条1項)
取締役会招集請求権(367条)
特別清算開始申立権(511条1項)
設立無効、株式発行無効、自己株式の処分無効、新株予約権の発行無効、会社の組織変更無効、合併無効、会社分割無効等の訴え(828条2項1号~12号)
株主総会決議取消の訴え(831条)
定款、株主名簿、株主総会議事録、取締役会議事録、計算書類、合併契約等に関する書面の閲覧等請求権(31条2項及び3項、125条2項から5項、318条4項及び5項、371条2項から5項、442条3項及び4項、782条3項、794条3項、803条3項、815条4項)
代表訴訟提起権(847条1項)、取締役及び執行役の違法行為差止請求権(360条、422条)必要
少数株主権
→一定以上の株式を有する場合に行使できる権利。なお、定款で要件を緩和したり、単独株主権へ変更したりすることが可能











株主の提案権(303条、305条)議決権の1%以上または300個以上(取締役会非設置会社では当該要件は不要)必要
(取締役会非設置会社では当該要件は不要)
株主総会の招集手続等に関する検査役の選任(306条)議決権の1%以上必要
業務執行に関する検査役選任請求権(358条)、会計帳簿閲覧権(433条)議決権の3%以上または発行済株式総数の3%以上
不要
取締役、会計参与、監査役及び清算人の解任請求権(854条、479条)必要
取締役、会計参与、監査役、執行役または会計監査人の責任軽減への異議権(426条5項)議決権の3%以上
不要
株主総会招集請求権(297条)必要
訴えをもって株式会社の解散を請求する権利(833条)議決権の10%以上または発行済株式総数の10%以上不要
簡易合併等の反対権(796条4項)等法務省令(会社法施行規則197条等)で定める議決権数以上不要


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