2010.08.30
平成13年に施行された消費者契約法に基づいて、消費者が契約の取消しを求めてきた場合、事業者は、社内において調査を行い、消費者契約法に反する勧誘方法が取られていることが判明した場合には、契約の取消しに応じるべきでしょう。そのようなことが起きないようにするためには、社内において、行うべきではない勧誘方法のマニュアルを作成し、販売員などに対して、定期的に教育を実施し、その記録を保存しておくことが重要です。
消費者は、以下の場合に、事業者との契約を取消すことができます(消費者契約法4条)。
・事業者が、重要事項について事実と異なることを告げ、消費者がその内容が事実であると誤信した場合(同条1項1号)
(例)コインが純金ではないのに、「このコインは純金でできている」と偽り、消費者がそれを信じてコインを買った場合(この場合、詐欺(民法96条1項)として、契約を取消すこともできます。また、詐欺罪(刑法246条1項)にも該当します。)
・事業者が、将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供し、消費者が、提供された断定的判断の内容が確実であると誤認した場合(同条1項2号)
(例)「この株は近いうちに必ず値上がりします」と言って、消費者がそれを信じて株を買った場合
・事業者が、消費者に対して、利益となることを告げたものの、不利益となる事実を故意に告げず、消費者が、当該事実が存在しないと誤認した場合(同条2項)
(例)先物取引において、事業者が、利益が出るとの見通しのみを告げ、相場暴落による損失の可能性を告げず、消費者がそのような危険がないと誤認し取引を行った場合
・消費者が、事業者に対して、その住居などから退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、事業者がそれらの場所から退去せず、それにより消費者が困惑した場合(同条3項1号)
(例)事業者が「買うまで帰らない」と言って、消費者の家の玄関口に居すわり、消費者が帰ってもらいたくて購入してしまった場合
・消費者が、事業者が契約の締結について勧誘をしている場所から退去する旨の意思を示したにもかかわらず、事業者がその場所から当該消費者を退去させなかったことにより消費者が困惑した場合(同条3項2号)
(例)事業者が「買うまで帰らせない」と言って、消費者を事務所から帰らせなかったため、消費者が事務所から脱出するために購入してしまった場合
逆に言うと、上記のような勧誘方法で商品を購入させられた購入者は、その契約を取消すことができます。
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