2010.06.15
取引先が、土地や建物を明け渡さない場合などには、前々回にお話しした「取引先とのトラブル-公正証書を作成して強制執行を備えること」は、あてはまりません。なぜなら、公正証書に基づいて直ちに強制執行をすることができるのは、「金銭の一定額の支払い」などに限られるからです[1]。
土地・建物の明け渡しに関して言えば、訴え提起前の和解(いわゆる「即決和解」)という制度を利用することができます[2]。訴え提起前の和解とは、訴えを提起する前に、民事上の争いについて、簡易裁判所に対して、争いの実情等を示して、和解を申し立てて行う和解をいいます。かかる和解が成立した場合には、和解の内容は、直ちに強制執行により実現することができます[3]。
なお、訴訟には、金銭の支払いを求めるものではない、様々な種類のものがあります。そこで、専門家である弁護士と検討して、訴訟によって、いかなる権利の実現が可能であるかを検討すべきです。
[1]民事執行法22条5号
[2]民訴法275条
[3]民事執行法22条7号、民訴法267条、275条
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