中国ビジネス・海外との商取引

当事務所が特徴を有する分野です。中国語・英語に堪能な弁護士が、中国語圏(中国本土・香港・台湾等)・英語圏との商取引、トラブル・紛争解決を全面的にサポートいたします。
海外取引となると、契約書の重要性は、国内取引にも増して大きくなります。当事務所では、英文契約や中国語の契約を作成あるいは、先方から提示された契約書のリスクを分析して、修正いたします。

こんなご要望にお応えします

  • 英文・中文契約の作成・修正してほしい
  • 中国語圏とのビジネスについて、相談したい
  • 中国・香港で合弁会社を設立したい
  • 海外の企業とのトラブル・紛争を解決したい
  • 裁判所・仲裁機関において、海外企業から訴えられた、または、訴えを提起したい
  • 英語や中国語の証拠が出てくる訴訟を行いたい

よくあるご質問

海外の企業と契約を締結する場合、管轄権を有するのは、どの国の裁判所になりますか。

画一的に決められるものではなく、訴えを提起された裁判所が、その国の法律に基づいて、その事件について管轄権を有するかを判断することになります。日本の裁判所においては、
①契約に合意管轄の定めがあれば、契約で定めた国の裁判所が管轄権を有することになり(法令により日本の裁判所に管轄権が専属する場合など一定の場合を除きます)、
②契約で定めていない場合には、日本の法令によって日本の裁判所が管轄権を有する場合は、原則として、日本の裁判所が審理するものの、当事者間の公平や適正・迅速な裁判の要請から、却下することができるとされています。

しかし、日本の裁判所に管轄権が認められたとしても、日本の裁判所の判決を、相手の国において執行できるかは別の問題です。日本の裁判所の判決は、例えば、中国の人民法院によっては執行することができないと考えます。 そのため、契約書には、紛争が発生した場合には、裁判所で紛争を解決するのか、仲裁で紛争を解決するのか、どこの国で紛争を解決するのかなど、あらかじめ検討して規定しておく必要があります。

サポート内容について

中国・海外の企業又は個人との間の紛争・トラブル解決

中国の企業や個人との間で紛争が発生した場合、解決の手段には、当事者間の話し合いによる解決、裁判所、仲裁機関による強制的な解決が考えられます。

裁判所や仲裁機関による強制的な紛争解決を行おうとする場合、まず、どの裁判所や仲裁機関において訴えを提起するかという問題が生じます。特に、国際的な紛争事案では、日本の裁判所だけではなく、国外の裁判所が管轄権を有している場合がありますので、専門家によるアドバイスを受けながら、最適な裁判所・仲裁機関を選択すべきです。 また、相手方から、裁判所や仲裁機関に訴えを提起された場合であっても、当該裁判所が管轄権を有していない場合、または当該仲裁機関が紛争解決にふさわしくない機関である場合がありますので、専門家のアドバイスを受け、適切に対応すべきです。
さらに、裁判所や仲裁機関において審理が始まった場合には、弁護士を代理人として選任し、権利の最大限の実現を求めるべきです。原則として、弁護士以外は、裁判所において、原告や被告を代理することはできません。また、仲裁機関において審理を行う場合であっても、仲裁は、裁判に類似した紛争解決手段であり、弁護士を代理人として選任すべきです。

当事務所では、日本及び中国の紛争解決制度を踏まえた上で、話し合いによる解決、訴訟、又は仲裁手続きにおいて、必要な場合には現地の法律事務所と協力して、お客様を適切に代理致します。

中国・海外の企業との貿易

気心の知れた日本企業同士では、往々にして、契約書を作成しないことがあります。また、作成したとしても、1ページの簡単な契約書しかないといったことがよくあります。しかし、中国企業を含め、海外企業との間で契約を締結する場合には、必ず契約書を作成すべきです。話せば分かり合えるとお考えの方がいらっしゃいますが、中国は、アメリカやヨーロッパの国々と同様、日本とは異文化の国です。常識や慣習、言語等が異なる人々と契約をするのですから、合意をしたことについては、できるだけ文章化し、何について合意し、何について合意していないかを明確にすべきです。

また、国際契約において紛争が発生した場合で、契約書の規定が不適切である場合、どちらの国の裁判所において紛争を解決すべきか、どの仲裁機関において紛争を解決すべきかについて、容易に争いが生じます。仮に、日本企業が中国の裁判所において訴訟を追行しなければならない場合に発生する費用は、出張費用、翻訳費用、弁護士費用、その他を含めると、巨額になる可能性があります。

さらに、契約の相手方の所属国毎に、日本との司法共助関係は異なります。例えば、米国カリフォルニア州及びニューヨーク州の州裁判所は、日本との司法共助関係を認め、日本の裁判所の判決を承認・執行しましたが(注)、中国の裁判所は、日本との司法共助関係を認めず、日本の判決を承認・執行することはできないと判断しました(注2)。

したがって、中国企業と貿易を行う場合には、後々紛争を誘発しないように、または不幸にも紛争が発生してしまった場合には、有利な裁判所や仲裁機関で紛争を解決することができるよう、専門家に依頼して、様々な要素を考慮、検討したうえで、適切な契約書を作成すべきです。
当事務所では、日本と中国の紛争解決制度を踏まえ、お客様の事案に合った、適切な契約書を日本語、中国語、英語で作成致します。

注:商事法務研究会「国際訴訟のQ&A」東京弁護士会国際取引法部会編
注2:大連市中級人民法院1994年11月5日判決

中国・海外の企業への技術使用許諾

日本企業と中国企業との間の物品売買が貨物貿易と言われるのに対して、日本企業と中国企業の間の技術使用許諾は、技術貿易と言われます。技術貿易も貿易の一種ですから、中国企業との貿易のページで記載した注意点は同様です。

中国企業へ技術の使用を許諾する場合に特有の注意点は、日本への送金と中国技術輸出入管理条例に記載された、いくつかの禁止規定です。

送金の点についてですが、中国の通貨である人民元は、海外流通が認められていないため、中国から海外へ送金する場合には、人民元を海外通貨へ交換したうえで、海外へ送金することになります。技術使用許諾契約は、関係当局において登記をする必要があり、かかる登記を怠ると、当該契約に基づいて海外へ送金することができません。また、関係当局において、技術使用許諾契約を登記する際に、当局から契約書の使用言語や準拠法について、指導が行われる場合があります。

次に、中国の技術輸出入管理条例は、技術の提供者は、技術の合法性、及び完全性を保証しなければならない旨を定めています。技術の合法性の保証とは、技術の提供者が、当該技術を合法的に所有していること、すなわち、他者の技術を侵害していないこと、無効の技術でないこと等を意味していると考えられます。また、技術の完全性の保証とは、契約に定められた技術が完全で、瑕疵がないこと等の保証を意味しています。過大な保証を技術の提供者に要求していると言えますが、契約書の規定によっては、相当程度、技術提供者の保証の範囲を狭めることが可能です。

当事務所では、お客様の事案に合った、適切な技術使用許諾契約書を日本語、中国語、英語で作成致します。

中国への直接投資

直接投資とは、「経営参加や技術提携を目的として、ある国の企業が外国の企業の株式などに対して行う投資」をいいます(注)。

中国への直接投資の形態は、大きく分けて、駐在員事務所形態、独資企業形態、及び合弁企業形態の三つがあります。

駐在員事務所とは、外国の会社等の中国における常駐の代表事務所です。北京(特に燕沙、及び国貿地区等)、上海(特に静安区、及び浦東区等)及び広州(特に、天河区、及び環市路エリア)などの中国の大都市には、日本企業の駐在員事務所が多数設立されています。
合弁会社とは、外国の会社等が中国の会社等と中国国内において共同で設立・運営する有限責任会社です。有名なところでは、自動車メーカーの東風日産は、日産自動車と東風汽車という中国の自動車メーカーの合弁企業です。完成した自動車の製造は、外国資本のみの独資会社が行うことはできないため、トヨタ自動車、本田技研工業、フォード、GM等の自動車メーカーは、全て中国企業との合弁会社を設立しています。
独資会社とは、外国の会社等が100パーセント外国資本で中国国内において設立した有限責任会社です。
当事務所は、お客様の中国における駐在員事務所、合弁会社、及び独資会社の設立をお手伝い致します。

注:大辞林

中国企業をパートナーとする合弁会社の設立

合弁会社とは、外国の会社等が中国の会社等と中国国内において共同で設立・運営する有限責任会社です。有名なところでは、自動車メーカーの東風日産は、日産自動車と東風汽車という中国の自動車メーカーの合弁企業です。完成した自動車の製造は、外国資本のみの独資会社が行うことはできないため、トヨタ自動車、本田技研工業、フォード、GM等の自動車メーカーは、全て中国企業との合弁会社を設立しています。

合弁会社は、パートナーである中国企業の協力を得ることができるというメリットがあります。例えば、中国企業が現地の政府機関等との間に有しているコネクションを利用できる場合があります。また、中国企業が優秀な企業であれば、中国における会社経営のノウハウを学ぶこともできます。さらに、外国企業が単独で独資企業を設立する場合に比べて、現地の人々の反発はそれほど大きくありません。

これに対して、合弁会社は、外国企業が中国企業と共同で運営するため、当該中国企業との間で合弁会社運営に関してトラブルになることがあります。また、ノウハウなどの企業秘密が、合弁会社を通じてパートナーである中国企業に流出する危険性は大きいです。さらに、当然中国側パートナーも出資することになるため、利益を独占することができません。

当事務所は、合弁契約書、定款、ライセンス契約書等の書類作成を通じて、お客様の中国における合弁会社設立をお手伝い致します。また、お客様が行う予定の業務分野において、中国において合弁会社を設立することができるかについて調査を行います。

中国における知的財産権保護

特許、実用新案、意匠、著作権、商標、ノウハウ、営業秘密等は、それぞれ中国においても法的に保護の対象とされています。

例えば、中国において、特許法は1984年、商標法は1982年、著作権法は1990年、反不正当競争法は1993年に、それぞれ公布されています。また、中国は、知的財産権保護に関する国際条約である、TRIPS協定、PCT条約、及びパリ条約にも加盟しており、知的財産権保護の法的枠組みは整っています。
しかし、日本における場合と同様、特許、実用新案、意匠、商標は、登録をしなければ法的な保護の対象とはなりませんので、日本だけではなく、中国においても登録を行うことをお勧めします。

例えば、A社が、日本酒の銘柄として、「Z」という商標 を、日本において登録しているものの、日本酒の銘柄として「Z」という商標を、中国において登録していない場合、A社は、中国において、日本酒の銘柄として、「Z」という名称を、第三者が使用することを防止することができません。

さらに、第三者が、日本酒の銘柄として「Z」という商標を、中国において登録してしまった場合、A社は、中国において、日本酒の銘柄として 「Z」という名称を使用することができなくなってしまいます。
この場合、中国において、第三者が登録した「Z」とい う商標を抹消することができる場合はありますが、成功したとしても、多大な手間と時間が必要となります。また、その多大な手間と時間を考慮して、中国における「Z」という商標を高額であっても購入することが合理的である場合も考えられます。

このような事態を防止する唯一の手段は、先に、中国において商標を登録することです。当ウェブページをご覧の皆様が、将来、中国に進出すること、または中国市場をターゲットにすることをお考えである場合、少なくとも日本で登録している重要な商標は、中国においても出願・登録することをお勧め致します。

中国における偽物対策

特許庁が2009年3月に発表した「2008年度模倣被害調査報告書」(注)によると、製造、経由、販売消費のいずれかの被害を受けた国・地域別の被害企業の比率は、2006年度71パーセント、2007年度694パーセントで、いずれの年も中国での被害の比率が最大でした。したがって、中国は、日本企業にとって、知的財産権の被害が最も大きい国と言うことができます。

仮に、中国において、知的財産権侵害を発見した場合の対策には、いくつかの方法があります。最も簡便かつ効果的な手段の一つは、警告書の送付です。警告書の送付を受けることは、知的財産権を侵害している企業にとって、相当の圧力となります。実際に、法律事務所名で警告書を送付したところ、直ちに侵害状態が是正された例がいくつも存在します。 警告書を送付しても、侵害状態が是正されない場合、考えられる手段は、担当行政機関による解決、及び司法機関による解決です。中国において、特許、意匠、及び実用新案を担当している行政機関は知識産権局で、商標は国家工商行政管理局で、著作物は国家版権局です。また、税関において、違反している商品を登録しておき、水際で侵害商品を没収する方法もあり、税関に おける摘発件数は年々増加しています。

司法機関による解決については、権利を侵害されている者は、裁判所において、侵害状態の是正と損害賠償請求を行うことができます。また、悪質な事案については、権利侵害者に対して、刑事訴追が行われることもあり、警察に告訴することができます。

当事務所では、侵害状態を是正することを要求する、中国語による警告書の送付を行います。また、警告書で侵害状態が是正されない場合に、必要がある場合には現地法律事務所と協力して、担当行政機関、税関への申告、及び訴えの提起を行います。

注:「2008 年9 月から11 月にかけて実施した我が国企業・団体8,000 社への模倣被害に関するアンケート結果(有効回答数3,650 社、被害企業数876 社)をもとに、2007 年度(2007 年4月~2008 年3 月)における我が国産業界が受けた国内外での模倣被害の状況について、過去の被害調査の結果とも比較し取りまとめた」(特許庁「2008年度模倣被害調査 報告書」)

中国法調査

当事務所は、お客様が予定なさっているビジネスを中国において設立した合弁会社によって行うことができるか、若しくは独資会社によって行うことができるか、またはいかなる許認可が必要か、その他、中国法上の疑問点を調査致します。