そこで、今回から3回にわたり、取締役による利益相反取引の制限について、ご紹介します。
第1回では、どのような取引が利益相反取引に該当するのかについて、ご紹介します。
①直接取引に該当するのは、例えば、(ⅰ)会社Aが、取締役Xに対して金銭を貸し付ける消費貸借契約を締結する場合、(ⅱ)会社Aの取締役Xが、別の会社Bを代表して、会社Aとの間で売買契約を締結する場合などです。
②間接取引に該当するのは、例えば、法律上例示されているような、(ⅲ)会社Aが、取締役Xの債務を保証する場合などです。(ⅳ)会社Aが、取締役Xが全株式を有する会社Bの債務を保証する場合も、間接取引に該当すると解されています。
他方、一見、直接取引に該当する場合であっても、例えば、(ⅴ)取締役Xが、会社Aに対して、無利息・無担保で金銭を貸し付ける消費貸借契約を締結する場合など、類型的に会社にとって損害が生じる可能性がない取引については、利益相反取引には該当しないと解されています(大判大正9年2月20日民録26輯184頁)。