日本法とアメリカ法の違い-連邦制2009/10/22

日本には、地方公共団体(都道府県・市町村)が存在しています。この地方公共団体の根拠は、日本国憲法92条です(「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」)。従って、法律によって「地方自治の本旨」に反する規定(注)を設けることはできませんが、基本的に、地方公共団体の権限は、法律によって定めることができることになります。

これに対して、アメリカ合衆国は、連邦制(federalism)を採用しており、連邦と州が存在します。日本で言えば、連邦が国であり、州が都道府県にあたります。しかし、連邦制のもとにおいては、州は、連邦から与えられた権限を行使するのではありません。むしろ、連邦は、合衆国憲法によって与えられた権限のみを行使することができ、それ以外の統治権限は、州が行使します(合衆国憲法修正第10条(Tenth Amendment of U.S. Constitution))。

従って、日本の場合には、地方公共団体は、国が持っている権限を法律によって与えられているのに対して(国→地方公共団体)、アメリカの場合には、もともと州が持っている権限を、合衆国憲法が連邦に与えるという(州→連邦)、反対の構造を採用していることが分かります(注2)。