取引先とのトラブル-公正証書を作成して強制執行に備えること2010/3/15

取引先との間でトラブルがあった場合、例えば、取引の相手方が売掛金を支払ってくれない場合、いかなる対応をすべきでしょうか。今回は、強制執行に備える方法として、公正証書をご紹介します。

公正証書を作成して強制執行に備えること

取引先が、「支払いたいが、現在お金がないので、6か月後に支払いたい。」と言っている場合、または「支払いたいが、現在お金がないので、分割払いにして欲しい。」と言っているような場合には、取引先との間の合意内容を公正証書にするべきです。

例えば、○○円を、○か月後に支払う旨の和解文書を作成した場合、その文書の内容に基づいて強制執行を行うためには、原則として、裁判所において、訴えを提起し、勝訴判決を得る必要があります。

これに対して、一定額の金銭の支払いを内容とする公正証書で、かつ債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているものは、執行力を有します(民事執行法22条5号)。したがって、公正証書を作成しておけば、仮に、取引先が、金銭を支払う旨の約束を守らなければ、裁判所での訴訟を経ることなく、直ちに、強制執行をすることができます。

したがって、取引先が金銭の支払いの猶予を求め、それを受け入れる場合には、公正証書による準消費貸借契約などを作成しておくことが有効です。

なお、公正証書は強い法的効力を有する文書ですので、違法な内容の公正証書は作成することができません。